徳川賴宣という人物について

月曜日

日本の思想

徳川賴宣という人物について

　月曜日は、日本の思想です。今日は、徳川賴宣（よりのぶ）という人物について考えます。
　徳川賴宣という人物は、徳川家康の息子です。和歌山城の城主であったという人物です。徳川賴宣は、大阪夏の陣の時には、徳川家康の軍勢の中に参加したという話です。
　徳川賴宣は、文武両道を目指す人です。徳川家康が天下を統一した後は、日本国内では、合戦は多くは起こらなかったようです。しかし、合戦が起こらない世の中となっても、徳川賴宣は文武両道を目指すのです。つまり、どのような世の中であろうとも、武道で稽古を行って、心身を強くするように努めるべきだ、ということです。徳川賴宣には、合戦の手柄を多く収めた、というような話は伝わっていません。戦国時代の武将のように、領土を広めるために、合戦を繰り返したような人物ではありません。時代が合戦の起こらない世の中へと移り変わったのです。しかし、徳川賴宣は、文武両道を目指すのです。なぜ、武道も大切にするのでしょうか。それは、やはり、合戦の重要性を大切にするからであると思われます。武道は合戦と結び付いているのです。
　つまり、人間として、合戦ができないようでは、偽善者だ、ということです。合戦ができない人は、嘘つきなのです。口先だけの人だということです。口では「城を守る」とか、「朝早く起きて、乾布摩擦をする」とか、様々な事を簡単に言うことができます。しかし、理論と実戦、という話なのです。理論だけで、「男は強くなければならない」とか、「自分に厳しく、他人に優しく」などと言うよりも、それ以上に、実戦を大事に考えるべきである、ということです。実戦を大切にするのであり、実際の現実世界を大切にするのです。つまり、徳川賴宣は、現実逃避を許さないのです。
　それは、もしも、自分の守る和歌山城に、敵が押し寄せてきた場合には、実際に、自分の城を守る、ということなのです。実際の現実世界の中で、自分の城を守ることができなければ、理論は役には立たない、ということです。実際の世界に通用することが重要なのです。敵に襲われる前には、「いつでもかかって来い」というような事を言うことができます。しかし、実際に敵に襲われた際に、本当に大丈夫であるのかどうかが問題なのです。現実世界で起こった事に対しては、後から言い訳をすることはできません。「突然襲われて、頭が混乱していた」ということで、「事前に、襲い掛かる事を予告してもらえればよかった」とか、「あれは卑怯だ。あれでは誰だって守ることはできないだろう」などと、言い訳をするのです。敵が、自分の予測する想定範囲の中で襲い掛かって来ていたら、自分は敵に対処できた、ということです。つまり、現実世界の恐ろしさ、というものです。現実世界の恐ろしさから、逃げてはならない、ということです。いつも理論通りの結果になるとは限らない現実世界の中で、実際に対処できなければならないのです。後で言い訳はできません。
　そこで、徳川賴宣は文武両道の人物となることを目指すのです。現実逃避を認めないのです。徳川賴宣は、城の城主となり、合戦の起こらない世の中に生きていても、合戦の重要性を忘れないのです。実際に重要なものは、口先の理論よりも、合戦で敵と戦えるかどうか、ということです。例えば、スポーツの監督のようなものです。監督が、指導する選手に、文武両道を目指すことを言うようなものです。練習の中では口先ばかり上手でも、試合の中では全然活躍できないような選手を、監督は目標にするべきではないのです。監督は、実際の試合の中で、実際に活躍できるような選手を目標に考えなければならないものです。徳川賴宣も、そのようなスポーツ選手の監督のような考え方だったということです。実際の試合の中で活躍できる人間でなければならないのです。
　城の城主となり、そして世の中に合戦が起こらないようになれば、人間は合戦の重要性を忘れてしまうものです。そして、武道の稽古も怠るようになります。しかし、そのような態度では、自分の城を守ることができないのです。現実の世界の中で、城を守ってこそ、本物なのです。実戦が第一なのです。そのような考え方は、現代の教育についても当てはめることができます。実戦を大事にする教育です。実際の世の中を生きることを主要な目標に置いた教育です。しかし、そのような教育は、社会に出て、他人と争える能力を形成することだけが目標ではありません。実戦第一だからと言って、実戦に役立つこと以外は教えないのではありません。第一があれば、第二もある、ということです。第一だけがあるのではありません。第一の目標は、社会で実績を上げられる人間を目指すことです。それはスポーツの監督の考え方です。しかし、徳川賴宣は、「人の生きるべき道」ということも大切に考えているのです。人間としての道徳も重要なものであると考えているのです。人としての生き様を大切にするのです。
　徳川賴宣は、人間の道徳を大切に考えていたのです。しかし、徳川賴宣は、現実逃避の道徳ではなかったのです。実戦をまず第一に考えながら、その厳しい現実の中で、道徳的な生き方をすることを目標とするのです。弱肉強食主義でありながら、道徳主義であるような人です。そして、現代日本の義務教育を考えれば、道徳第一主義である現状かもしれません。つまり、「人間は科学を大切にして、科学的な世界観を持って生きるべきだ」というような道徳を、学校の先生から教わるのです。そのような、道徳的な教育は、義務教育の中で、学校の先生から教えられるものです。しかし、弱肉強食の厳しい世の中を実際に生きるための教育の機会は少ないのかもしれません。現代日本の義務教育は、道徳第一主義であるということです。
　しかし、徳川賴宣は違います。徳川賴宣は、常に実戦への用心を怠ることはありません。実際の現実世界に立ち向かえないような人間を目標とするのではありません。そのため、徳川賴宣は武芸を奨励するのです。しかし、徳川賴宣は、現実世界の中で、道徳的な生き方も行うのです。つまり、現実の中の、道徳的生き方を考えるべきだ、ということです。道徳の方向だけに行き過ぎないことです。まずは現実世界が第一であり、そのためには武芸の稽古は行わなければなりません。そして、なおかつ、現実世界の中で、道徳的生き方をするのです。

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