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火曜日

西洋の思想




ヘラクレイトスの「流動」について


 火曜日は、西洋の思想を考えます。今日の題は、ヘラクレイトスの「流動」について、です。ヘラクレイトスは、古代の西洋で活躍した人物です。
 ヘラクレイトスは、万物流動の説で有名です。ヘラクレイトスの主張する真理とは、「万物は常に流動している」ということです。それは、諸行無常のような考え方です。常に世界は変化し続ける、という考えです。世界全体の姿は、流動しているのです。動き続ける世界の姿の中に、ヘラクレイトスは、真実を見るのです。運動が、万物における真理であると、ヘラクレイトスは考えるのです。
 ヘラクレイトスは、固定した事物には真理を見出さないのです。多くの人々は、「永遠の真理」というものは、ダイヤモンドのような、固くて、絶対に壊れないようなものであると、考えるのです。多くの人々は、世界の中に、絶対に不動な、永久に存在し続けるようなものがあると考えます。世界の真実の姿は、諸行無常の姿であることを、多くの人々は認めないのです。多くの人々は、不動の世界を真実であると考えるのです。しかし、ヘラクレイトスは、流動する世界が真実であると主張するのです。不動の世界には、真実を考えられない、ということです。不動の世界になれば、世界が終わるのです。世界の流動が止まれば、世界は破滅するとヘラクレイトスは考えるのです。
 つまり、ヘラクレイトスは、「流動」が真理であると考えるのです。流動がないものは、ない、ということです。常に運動して、生成することが事物の真実の姿です。ダイヤモンドも、変化するのです。ダイヤモンドの状態も、常に流動して、変化し続けているのです。それは、川の流れと同じことです。川は常に流れています。そして、川の状態は、常に変化し続けているのです。全く同じ状態の川に入ることは、二度とできないのです。世界も、川の流れのような状態が、真実の姿なのです。世界全体が流動し続けており、止まることがないのです。それは、世界の中の人間についても、当てはまる真実です。世界全体が流動していれば、当然、人間も流動していると考えられるのです。人間も、流動し続ける姿が、真実の姿なのです。つまり、ヘラクレイトスは、世界の中の一切が、流動していると考えるのです。人間についても、例外ではないのです。
 人間についての流動は、「生から死へ」の流動を考えることができます。人間は、生命のある状態から、死の状態へと、常に流動しているのです。人間も、川の流れのような存在なのです。それは、人間の体の細胞を考えれば、理解できることです。人間は細胞で構成されているのです。そして、その人間の全身の細胞は、常に新陳代謝をし続けているのです。人間の細胞は、常に変化しているのです。細胞が変化しているのであれば、人間も変化していると考えられるのです。人間も、全身の細胞と共に、変化し続けているのです。つまり、同じ状態の人間を、二度と見ることはできない、ということです。人間も、万物流動の法則に従いながら、川の流れのように変化し続けているのです。人間は諸行無常の存在である、ということです。不動ではないのです。運動しているのです。
 そして、ヘラクレイトスは、人間の、生から死への状態も考えているのですが、しかし、その反対に、死から生への状態も考えています。生から死への変化も、当然に考えられるのですが、それと同様に、死から生への変化も考えられるのです。ヘラクレイトスの万物流動の法則は、世界全体の、一切の事物に当てはまるのです。そのため、生のある万物の死と、死のある万物の生との、両方の変化が考えられるのです。つまり、ヘラクレイトスは、人間について、死ぬことだけを考えていたのではないのです。ヘラクレイトスは、生から死への運動と、死から生への運動を考えているのです。「生」も変化するのですが、しかし、「死」も変化するのです。一切の事物に対して、固定した状態をヘラクレイトスは考えないのです。流動するものは、生あるものだけではないのです。「死」もまた流動すると考えられるのです。人間の全身の細胞も、生から死へと変化します。しかし、また、死んだ細胞も、変化して、生きることになるのです。終わりがないのです。生から死へと変化して、そして、死から生へと変化する繰り返しが続くのです。そのようなヘラクレイトスの無常観の考え方は、活動的な考え方です。ヘラクレイトスの世界観は、活動的なのです。
 ヘラクレイトスは、万物流動の世界を、肯定的に考える人物なのです。ヘラクレイトスは、万物流動の世界の中に、真実と、正義とを考えているのです。ヘラクレイトスは、真実の世界を歓迎するのです。ヘラクレイトスは、万物流動の世界を、決して否定しないのです。世界の運動を肯定するのです。しかし、ヘラクレイトスは、運動を肯定することに関係して、戦争も肯定する考えなのです。それは、ヘラクレイトスが、運動と変化とは、闘争をきっかけに生まれるものであると考えているからです。変化は、対立と闘争とを経て生じると、ヘラクレイトスは考えるのです。
 そのようなヘラクレイトスの世界観では、世界から、闘争が消えることがないと考えられます。ヘラクレイトスの世界観は、常に闘争状態にある世界が考えられている、ということです。闘争状態にあるものが、運動と生成の状態にあるものと、ヘラクレイトスは考えるのです。そのため、万物流動の世界を肯定するのなら、闘争状態にある世界も肯定することにつながるのです。ヘラクレイトスの諸行無常の世界観は、活動的で肯定的な世界観であり、その部分だけを見れば、素晴らしい世界観であるように思えます。しかし、ヘラクレイトスは、戦争を肯定するのです。そのようなヘラクレイトスの世界観には、問題があると考えられます。
 ヘラクレイトスは、対立と闘争とを、歓迎するのです。それは、世界の真実の姿であるからです。そして、真実こそが正義であると、ヘラクレイトスは考えるのです。つまり、ヘラクレイトスは、闘争は悪ではないと考えるのです。多くの人々は、闘争は悪であると考えます。多くの人々は、世界から闘争状態が消えることを願っています。しかし、ヘラクレイトスは、世界から、闘争状態が消えてはならないと考えているのです。闘争状態は、消えるべきではないと考えるのです。世界には、闘争状態が必要であるという考え方です。世界の万物は、流動しているから、生成があるのです。そして、闘争状態が消えれば、万物の流動も消滅するのです。そのため、万物を流動させるためには、世界の闘争状態を、維持しなければならないのです。世界は、闘争状態の中で生成するのです。世界を滅亡させないためには、闘争を続けるのです。
 つまり、ヘラクレイトスの世界観では、人間は、戦争の続く世界の中で、苦しみ続けることが予想されるのです。しかし、ヘラクレイトスは、世界を存続させることを正義であると考えるわけです。世界を滅亡させることは悪なのです。世界の滅亡を防ぐのです。そのために、戦争をするという考えです。しかし、多くの人々は、戦争をすることが、世界を滅亡させる原因であると考えるものです。ヘラクレイトスは、戦争を経て、世界は生成と発展とを続けると考えます。ヘラクレイトスは、多くの人々と、反対のことを考えるのです。多くの人々は、戦争によって、世界は滅亡すると考えて、戦争を防ぐことを考えます。ヘラクレイトスの、万物流動の説については、多くの人々も賛成すると思われます。ヘラクレイトスの、闘争についての考え方に問題があるのです。








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